R439 京柱峠 03/03/17


ちょうど去年の今頃、長女が中学卒業&公立高校合格の祝いに、温泉旅行に連れて行けと言う。
この長女は大の田舎好き。田んぼのあぜ道を歩かせておけば上機嫌のへんな子である。
そこで、行くならほんとの”ド”がつく田舎にしようということになった。
その頃、兄のお店でバイトしていた私は帰りのJRの駅で、ある広告に目を奪われる。
『秘境の湯 西祖谷山村』  秘境だって!いい響きだわ。
近くにはかずら橋とか、直下300メートルの所に立つ小便小僧。大歩危小歩危などなど観光も出来そうだ。
ここにしよう! 即、決まった。

当日は天気も良く春の気配が感じられる、ドライブには持って来いの陽気である。
明石海峡大橋を渡り、淡路島を横断、大鳴門橋を渡って四国へ上陸。
徳島自動車道に乗る前にさぬきうどんの昼食を取る。
徳島自動車道に乗って井川池田JCTまでは順調な気持ちの良いドライブだった。
32号線に下り、祖谷街道を通るコースで行く。途中、小便小僧の所で車を止め、記念撮影。
道路は車二台がどうにかすれ違えるほどの狭い道路だった。
石がゴロッと転がってくるような所もあったりして、さすが秘境だわ。四国の屋根といわれるほどの剣山に向かうだけあって急勾配だわ。平面で見る地図とは、当たり前だが大違いだった。
ちょっとハラハラしながらも、観光の車や名物のボンネットバスなどとすれ違い目的地の西祖谷山村に到着。
かずら橋に寄り、料金の500円を払って橋を渡る。つり橋は怖い人と怖くない人のどっちかで完璧に分かれるようだ。
主人と長女はスイスイ渡り、私と次男は恐々のへっぴり腰。
橋を行き交う人の中に、5歩くらい渡った所で戻ってくる男の人がいた。その人は戻ってくると肩にかけていたリュックを背中に担ぎ直して意を決したように再び渡り始めた。が、5歩から先が進めない。どうしても進めないといった感じが伝わってくる。もうやめればいいのにと思っていたら、仲間の一人とおぼしき女の人が助けに来た。   女の人に手を取られ、ゆっくりと橋を渡っていった。私は?私に助けは来ないのかい?来るわけないね、写真撮るのに夢中だわ。

宿へ行く前に、かずら橋からも近い『びわの滝』へも寄った。 ふ〜ん、プロのカメラマンはやっぱりすごいのね。
お宿は家庭的なお宿でした。 少し休憩して、お楽しみの温泉へ♪
いったん宿の外へ出て階段を下りた所に温泉がある。こじんまりした温泉、露天もこじんまり。
夜中にラップ音のような音がずっとしていた部屋で親子四人くっついて寝た。
朝目覚めると雨だった。こじんまりの温泉で朝湯を浴びて朝食をとり、部屋で帰り支度をしていると雨は上げっていた。
今日は、奥祖谷二重かずら橋と武家屋敷だか平家屋敷だかに行こうと話し合っていたが、奥祖谷二重橋は遠いことがわかりやめた。武家屋敷は道に迷いこれもやめた。
帰りは、昨日来た道を帰るのはもう嫌だと主人が言うので違う道を探すことにした。剣山に向かって走り、R438を通って美馬ICへ抜ける道と、R439の京柱峠を抜けて高知自動車道 大豊ICへ向かう道。こっちの方が地図的に距離が近いようなのでこっちにする。

雨上がりの道を走りながら 
「昨日の道はこわいよなぁ、あっちは近道やったからナビが選んだんやろ」
「このナビは、抜け道好きやからなぁ」
「ハハハ・・・・」。
きれいな道路は途中で狭くなったが少しだけだろうと気にせず走り続けた。
道幅はどんどん狭くなり、車一台がやっと通れるほどになってきた。勾配も剣山へ向かっているのかと錯覚するほど登りづめである。
「どうする?戻った方がええんちゃう?」
「もう、戻られへんわ」
そう、車一台しか通れない上に、車止めのような所もほとんどない。
あってもわずかなスペースで、ガードレールのない道の下は小便小僧級の絶壁。
道の両端には腐った枯れ葉がぬるぬると、とっても滑りそう・・・。
おまけに愛車のMPVは車体を下げていて、とてもこんな山道を走れる代物ではない。
前のタイヤはつるつるでとっても滑りやすく、雪道は絶対走れない。
雪はだめ! なのに上ってゆくにつれ降ってきた雪・雪・季節外れだろ?・雪よ。
確かにここは国道のはず。 間違えたのか? もうナビのGPS衛星も届かない。
しかし、ここは間違い無くR439だった。峠道はくねくねとした道で、Uの字の道の向こう側は道が崩れてる?
『道が崩れてる!』(心の声)動揺を隠すがもうだめだ。
しかし、進むと道はあった。今までと同じような道だった。
今来たUの字の方を見るとやっぱり崩れてるようにしか見えないよ! ずっとこんな道を走っていたのね。

いつまで続くのかと思われるほど長く厳しい道のりだった。
高知自動車道に入るまで長女は圏外の携帯を握り締め、車に酔う次男はお目目ぱっちりで酔わずに起きていた。
「一家4人、崖から転落」のニュース流れずに済んだ。
もう、国道を信じない。秘境はこりごりだ。知らない土地で知らない道を走る時は地元の人に聞こう。
秘境からの脱出はこれっきりにしたい・・・・。
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